経営者が残るという形もある薬局のM&A

処方箋はどこの薬局に持参しても構いません。店舗からすれば、近くにライバル店舗ができると経営的にマイナスになることもあります。処方箋を取り扱える大型ドラッグストアも増えてきたので、昔から親しまれてきた地域の店舗は安閑としてはおられません。
1980年代後半から1990年代にかけて医薬分業が急速に進み、一気に店舗が増えました。それから数十年が経過して、競争激化と創業者の高齢化、経営が困難となって廃業を考える経営者も増えています。しかし廃業すれば収入を失いますし、地域住民も困ります。そうした状況からM&Aが盛んになっていますが、必ずしもそれまでのオーナーがリタイアしなければならないわけではありません。店舗は手放すけれど本人は引き続き残る経営者残留型という方式もあります。

さまざまなパターンがある経営者残留型

それまでの経営者がM&A後も薬局に残って働くケースは珍しくはありません。このタイプの交渉をスムーズに進めるためには、専門企業を仲介役に立て、自分の希望と相手側の条件をすり合わせて決着点を見出すことが大切です。
長年のキャリアと知識を生かして薬剤師として雇用されるケースを希望する人もいます。高齢などで常勤が難しいのであれば非常勤として勤務数を減らし、若い薬剤師のサポート役に回るという手もあります。
薬剤師としての仕事はせず、新店舗の運営に専念するというパターンもあります。ただし、本人の希望と譲受側のニーズが合致する必要があるので、必ずしもオーナーが希望する譲受者が相手方になるとは限りません。譲渡後の自分自身の処遇を受け入れる相手を自力で探すのは困難ですから専門企業に委託することが推奨されます。

譲渡側と譲受側の希望が一致することが大切

薬局のM&Aが盛んなのは、譲受側にとって新店舗開設はクリアすべき課題が多いからです。好立地がなかなか見つからないとか、薬剤師を確保しなければならないことが壁になりがちです。
譲渡する側の店舗が利便性の高い場所にあれば、好立地が手に入ると同時にライバルは消えるわけですから一石二鳥です。譲渡側の店舗に勤務していた薬剤師をそのまま雇用できるので新たな求人活動も不要です。譲渡側経営者にとっても、閉局するならば大きな課題になる従業員の再雇用が一挙に解決するのでウインウインの関係といえます。
ただ、譲渡側の経営者が引き続き経営に携わりたいとか、薬剤師として新店舗で働きたいといった希望は譲受側の戦略と一致することが必要です。逆に言えば、譲渡側は譲受側がどこであるかにあまりこだわらず、柔軟に考えることが大切になります。

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